桃の華〜溺愛イケメン社長〜

「華ちゃん、こっち見て」

そう言われ、少しだけ体勢を変え桃田さんを見つめる。

「もしも、華ちゃんに責任があるとするならば、俺をこんな気持ちにさせることだよ」

桃田さんの手が伸びてきて、私を顔を自分の顔へと近づけられる。

「自分でも大人気ないなって思うけど、華ちゃんのこと好きすぎて抑えらんない。無理してでも華ちゃんに会いたい」

そんなこと言われたら、もう無理しないでなんて言えないよ。

だって、私が桃田さんの立場でも、無理してでも桃田さんに会いたいって思ってしまうから。

「だから、自分のせいだなんて言わないでよ」

そう言って、私の垂れた髪を耳にかけてくれる桃田さん。

「私もすごく桃田さんが好きです。だから、弱っているところもちゃんと見せて下さい」

どんな桃田さんを見せられたって、絶対にかっこ悪いなんて思わないよ。

「頼りないかもしれないけど、私を甘やかすばかりじゃなくて、たまには甘えてください」

「華ちゃんには敵わないな」

そう言いながら桃田さんは、私の頭を優しく撫でてくれる。

「そばに居るので、少し寝て下さい」

「1時間だけ寝たら送っていくからそばに居て」

私の手をギュッと握って桃田さんは眠りについた。

桃田さんの寝顔なんて初めて見るよ。

高い鼻に綺麗な顔立ちをしてる。
こんなにカッコいい人が、私のことをすごく好きでいてくれるって奇跡なんじゃないかな。


1時間が経ち、桃田さんはぐっすり眠っている。

全く起きる気配がなくて、本当に疲れが溜まっていたんだね。

もう少し眠らせてあげたくて、起こさずにそのままいると、ドアがノックされた。
その音で桃田さんが目覚めて、ゆっくりと体を起こす。

「社長、失礼します」

ノックしたのはマキノさんだったらしく、社長室へと入ってこられた。


「寝てらしたんですか?」

「ああ。1時間のつもりが2時間も寝ていたらしい」

マキノさんの質問に桃田さんは腕時計を見ながら答えてる。

「お帰りになるなら車用意します」

「頼むよ」

「はい。華さんは私がお送りいたしますので」

桃田さんが送ってくれると言い出したけど、私とマキノさんによって阻止した。