桃の華〜溺愛イケメン社長〜

ノックをして社長の扉を開けて中へ入ると、桃田さんはまだソファに寝転んでいた。

私はソファのそばまで行き膝をつき、上から桃田さんの顔を覗き込むと、一瞬だけ薄っすらと目を開けた桃田さんと目があった。

「また、華ちゃんか…」

桃田さんのはかすれた声で囁くように言う。
やっぱり戻って来ちゃったら迷惑なのかな。

「毎日夢に見て、俺はどんだけ惚れてんだよ…」

今のって…もしかして寝ぼけてる？
私と目があったのに夢だと思ってる？。

ただ寝ぼけ言っただけかもしれないけど、私はすごい自分に都合よく受け取ってしまう。

私が毎日桃田さんの夢に出ているんだったらすごく嬉しいよ。

私は桃田さんの手をギュッと握った。

すると、それに気づいた桃田さんの瞳がパッと開けられた。

「え、華ちゃん？帰ったんじゃ…」

「そばにいます。ゆっくり休んで下さい」

「ここおいで、膝汚れちゃうよ」

そう言って横向きになり、自分の胸の辺りのソファをポンポンと叩く。

こんな時にでも私のことをちゃんと見ていてくれて、床に膝をつけていたことまで気遣ってくれる。

私は桃田さんの胸の辺りに腰下ろした。

「かっこ悪いところ見せちゃったね」

「全然、かっこ悪くないですよ。私にとってはどんな桃田さんもかっこよくて素敵です」

そう言うと、桃田さんは私のお腹に片手を回しギュッと抱きしめる。

「どうしてそんなに可愛いの？明日デートしようか」

デートに誘われてすごく嬉しい。
だけど、桃田さんにまた無理をさせてしまうのは嫌だ。

「駄目です！ゆっくり休んでください」

「大丈夫だよ。早めに仕事を片付けるから」

ほら、そうやって私に会うために仕事で無理をさせてしまうんだ。

「桃田さん、私との時間を作るために無理しないでください」

そう言って、私に回してくれている桃田さんの腕をギュッと掴む。

「私のせいで桃田さんに迷惑かけたくないです」

「迷惑じゃない。それに華ちゃんのせいでもないよ」

優しい桃田さんが私を責めたりするわけがない。

だけど、桃田さんが仕事が忙しいのに私に会うために無理したのは事実なんだよ。