日が暮れる前にプライベートアイランドを後にし、桃田さんに家の前まで送ってもらって帰ってきた。

「また明日から出張なんだ」

またしばらく会えないんだ。
寂しいな。

夏休みも半分すぎちゃったし、学校が始まればさらに会えなくなっちゃうよね。

「寂しい?」

寂しいけど、寂しいなんて言えないよ。
桃田さんは仕事が忙しいんだし、困らせたくない。

「大丈夫です!気をつけて行ってきてください」

「大丈夫だなんて言わないでよ」

そう言いながら優しく頭を撫でてくれる桃田さんのせいで、隠していた気持ちを隠せなくなってしまう。

「さ、寂しいです」

「帰ったら一番に会おう!連絡するから」

「はいっ」

桃田さんはいつもデートの約束や、次の会う約束をしてくれる。

私が次いつ会えるか寂しく思わないようにしてくれているのかもしれない。


桃田さんはおばあちゃんとの約束で、私の家の玄関まで送ってくれる。

「ただいま」

大きな声でそう言うと、おばあちゃんが出てきた。

「おかえり。夕飯まだなら律君も食べて帰ったら?」

「ありがとうございます。でも、帰って出張の準備をしないといけないので」

そんなに忙しいのに私とデートしてくれていたんだ。
なんか、申し訳ない気持ちになっちゃうよ。

「出張から帰ったら、ぜひお邪魔させてください」

「いつでも待ってるわ」

「ありがとうございます。華ちゃん、今日は疲れただろうからゆっくり休んでね」

桃田さんはそう言って帰って行ったけど、疲れたのは桃田さんも一緒なのに。

帰ってまだ出張の準備があって、明日からは出張なのに私のことばかり気にしてくれる。


私も何か桃田さんにしてあげられることがあればいいのに。