「ねぇ、ひとり?何してんの?」

ショッピングモールを出ると、2人組の男の人に声をかけてこられた。

「……」

たまにナンパやスカウトと言って声をかけられる事があるけど、私はどうもそう言うが苦手でうまく逃げられない。

「無視しないでよ!暇なら一緒に遊ぼうよ」

「ご、ごめんなさい。忙しいので」

「えー、ちょっとくらいいいじゃん」

何とか逃れたくでスタスタ早歩きで歩くけど、男の人たちは付いてくる。

早くどっかいってよ!
このままずっと付いてくるつもり?

こんな時にも頭に浮かぶのは桃田さんで、桃田さんに助けを呼びたくなる。

「ねぇ!遊ぼうってば!」

「きゃっ!」

男の人に肩を掴まれ思わず声が出てしまった。

「ちょっと触っただけじゃん!可愛いからって生意気なんだよ」

怒ってしまったのか、男のは人の声色が変わった。

どうしよう?
怒らせるつもりなんてなかったんだけど、いきなり触られたからびっくりしちゃって。


「俺の彼女に何か用ですか?」

桃田さん…!?
声が聞こえた方を振り向くと、そこには桃田さんじゃなくキムラ君がいた。

「なんだよ!男いんのかよ」

キムラ君のおかげで男たちは去って行った。

「華ちゃん、大丈夫?」

「助けてくれて、ありがとうございます」

本当にキムラ君が来てくれて助かったよ。
あのままだったらどうなっていたことか。

「華ちゃんも買い物?今日給料日だしね」

「は、はい」

「帰るなら送っていくよ」

さっき男の人に絡まれていたから気にかけてくれてるんだろうけど、迷惑はかけられないよ。

「大丈夫です!ありがとうございます」

「全然大丈夫じゃないでしょ?手震えてるよ」

え?キムラ君に言われるまで気づかなかったよ。

「社長の彼氏は忙しくて迎えに来れないでしょう」

桃田さんは優しいからお願いをすれば迎えに来てくれると思う。

だけど、忙しいのにそんなことお願いできないよ。

私は結局、キムラ君に送ってもらい家の前まで帰ってきた。