「それから道端でおばあさんの財布を探してあげてる時も、イベントの準備を一生懸命なところも可愛くて、気がついたら小さい頃のことなんか関係なく好きになってた」

桃田さんがそんな風に思ってくれていたなんて全然知らなかった。

「わ、私も桃田さんと会うたび緊張して、ドキドキして…すごく好きになってました」

「もう、ほんと可愛い。俺、華ちゃんと出会うために生まれてきたのかも」

そんな事をニコニコとサラッと言う桃田さん。

だけど、私も桃田さんと出会うために生まれてきたんだとしたら嬉しいな。


おばあちゃんの作ってくれた昼食を桃田さんも一緒に食べる。

桃田さんがうちにいるって、なんか変な感じがする。

「律君、どう?お口に合うかしら」

「とても美味しいです」

「そう、良かった。じゃ、華にしっかりと料理も教え込んでおくわね」

「はい。花嫁修行をお願いします」

は、花嫁修行??
私は、桃田さんの言葉にいつもドキドキさせられっぱなしだよ。



ご飯を食べ終わり、しばらく桃田さんとおばあちゃんの3人で話していると眠気に襲われた。

気がついて目覚めると、もう桃田さんは帰っていた。

「おばあちゃん、桃田さんは?」

「もう帰られたわよ」

せっかく桃田さんと一緒にいれる時間だったのに、眠ってしまうなんて。


「門限は10時、夕飯がいらない時は前もって連絡すること、必ず律くんが家まで送り届けること。それから、外泊は駄目。結婚までは清く正しいお付き合いを」

「おばあちゃん、いきなりどうしたの?」

「律君が華との旅行を許可して欲しいって言ってきたけど、おばあちゃんの許可できるのはそこまで!いいわね?」

そういえば、桃田さんに旅行を誘われたんだった。

そして、桃田さんはおばあちゃんに許可をもらうって言ってくれていたけど、すっかり忘れていた。

「おばあちゃん、旅行も許してほしい」

「旅行へ行きたいなら日帰りでも行けるでしょ?律君は納得してくれたわよ」


え?桃田さんが?
おばあちゃんに駄目だって言われて諦めたのかな?

「私、桃田さんに電話してくるね」

そう言って、自分の部屋へと入った。