桃の華〜溺愛イケメン社長〜

「今日はおばあさんから、華ちゃんに会いに来てほしいって連絡をもらったんだよ。今まで黙っててごめんね」

「良かった…桃田さんで」

「え、華ちゃん?」

ここ数日ずっと悩んでいて、一気に安心したのか涙が出てきた。

そんな私を桃田さんは優しく抱きしめてくれる。

「わ、私、桃田さんのこと覚えてなくて…おばあちゃんにおじいちゃんが決めた人に会うように言われて…会わなきゃ桃田さんとも会ってくれないって言われて…」

「ああ、それでこの前、元気なかったんだ」

泣きながら話した私の話で桃田さんは全てを理解してくれた。

そして、頭を優しく撫でてくれる。

この手の感触…もしかして…

「桃田さん、両親のお葬式のとき、私の頭撫でてくれましたか?」

「あー、そんな事もあったかな。ひとりでいる華ちゃんを見て、笑顔にしてあげたいなって思ったんだ」

あの時の手の温もりは桃田さんだったんだ。


「2人で何してるの?」

お茶を入れておばあちゃんが戻ってきて、抱きしめられて頭を撫でられている私を見て驚いている。

私たちは体を離し座り直した。

「おばあちゃん!私のお付き合いしている人って、桃田さんだったの!」

「じゃ、華が話していた大好きな人って律君だったの?」

そ、そうだけど。
まさか、桃田さんの前でこんな告白されちゃうとは思わなかった。

恥ずかしくて、桃田さんの顔が見れないよ。

「ご挨拶が遅れてしまい申し訳ありません。華さんとお付き合いさせていただいております。どうかお許しいただけないでしょうか?」

おばあちゃんに向かってそう言ってくれる桃田さんは、私がいつも見てる優しくて甘い表情じゃなく、真剣でとてもカッコいい表情をしている。

「清く正しいお付き合いをお願いします」

おばあちゃん?なんて事を言うの?
抱きしめられているところを見られたから何も言い返せないけど。

「はい。一生、大事にします」