桃の華〜溺愛イケメン社長〜

「私、明日お会いしたら断るからね。記憶にはないけど、昔よくしてもらったならちゃんとお礼言って、私の気持ちも正直に話すよ」

そう言うと、おばあちゃんは納得してくれたようで何も言わなかった。


翌日
家で会うことになっていて、おばあちゃんは朝から支度をしていた。

11時前になりインターホンが鳴った。

「華、出てちょうだい」

おばあちゃんにそう言われて玄関を開けると、そこに立っていたのは桃田さんだった。

「ど、どうしたんですか?」

どうして、桃田さんがうちに?
驚きすぎて頭が回らない。

「おばあさんに挨拶にきたんだよ」

え?どうしよう?
今日は、おじいちゃんが決めたって言う相手が来る日なのに。
それももう時間が迫っている。

とりあえず、桃田さんには帰ってもらった方がいいよね。

「あの、桃田さん…」

「華?」

テンパっている私の後ろからおばあちゃんの声が聞こえた。

振り向くと、おばあちゃんが立っていて、さらにテンパってしまう。

「ご無沙汰しております。桃田律です」

テンパっているうちに桃田さんがおばあちゃんに挨拶をしてしまった。

けど、今…ご無沙汰しておりますっていったような気がする。

「律君、お久しぶりね。今日は急にお呼びたてしてごめんなさいね」

え?おばあちゃんが桃田さんを呼んだの?
それに、桃田さんのこと名前で呼んでる。
何がなんだかわからない。

「華、上がっていただきなさい」

「あ、はい。桃田さんどうぞ」

そう言うと桃田さんはうちに上がり、座敷の部屋へと案内した。

すると、桃田さんはおばあちゃんに断りを入れて、仏壇に手を合わせている。

「華ちゃん、驚いた?」

「は、はい!どうして桃田さんがうちに?」

未だに状況が把握できないまま、おばあちゃんはお茶を入れるため席を外し、私と桃田さんの2人っきりになった。

「華ちゃんは小さかったから覚えていないだろうけど、俺と華ちゃんは昔に会ってるんだよ。祖父同士が親友で、お互いの孫を一緒にならそうって約束したんだ」

それって、おじいちゃんの決めた人って言うのは桃田さんだったってこと?