「美味しそう」

お肉に、見たこともないような大きなエビや、フルーツまで用意されている。

「一流シェフの料理だから味は保証するよ」

一流シェフの料理なんて初めて。
前に連れて行ってもらったレストランもすごく美味しかったけど。

それにしても、この料理は私たちだけ?
そう言えば、このクルーザーも貸し切りなのかな?
他にお客さんがいないよね。

「他のお客さんいないんですね」

「ん?お客さん?ああ、この船は俺のなんだ」

え?桃田さんのクルーザーってこと?
お金持ちだってことは知っていたけど、まさか桃田さんのものだなんて思いもしなかった。

「だから2人きり。運転手はいるけど」

今さらだけど、さっきデッキであんなことしてたけど、2人っきりでよかったよね。
誰かに見られてたら恥ずかしいし。

だけど、さっきはそんな事が気にならないくらい桃田さんしか見えてなかったんだ。


桃田さんと2人っきりで料理を食べて、どれも美味しくて最高だった。

その後、またデッキへ出てふたりでいろいろ話したり、楽しい時間を過ごした。


日が暮れる前に桃田さんは家の近くまで送ってくれる。

もう少し一緒に居たいけど、あまり遅くなるとおばあちゃんが心配するしね。

桃田さんも私が高校生だから、遅くならないように気をつけてくれてる。


「今度、おばあさんに挨拶に行くよ」

「え?」

シートベルトを外してくれた桃田さんがそう言ったけど、おばあちゃんに挨拶ってどう言うこと?

「華ちゃんのおばあさんに、付き合いを許してもらいたい」

桃田さん…

「歳の差があるから心配させたくないしね」

桃田さんは本当に真剣に私と付き合っていく気なんだと思った。
すごく嬉しい。

「桃田さん、本当に大好きです」