桃田さんが私たちを連れて来てくれたのは、ホテルのスイーツビュッフェだった。

私とセリナは美味しすぎてパクパク食べてるのに、桃田さんはコーヒーだけで食べていない。

一二三の和菓子を買いに来てるから甘いもの好きだと思ってたんだけど。

「桃田さんは食べないんですか?」

「一口貰おうかな」
そう言って、私のケーキを一口パクリと食べた。

「美味しいね」
あっさりとケーキの感想を言うけど、間接キスだよ。
大人はそんな事も気にならないのかな。
私も変に意識しちゃダメだよね。

「華ちゃんは学校でどんな感じなの?」

桃田さんがセリナにそんな事を聞いてるけど、気を使ってくれてるのかな?
私といる時も桃田さんがリードして会話をしてくれるし。

「みんなに優しいです。花壇委員も朝早く行って水をあげなきゃいけなくて、みんな嫌がるんだけど、華は引き受けちゃって」

「へぇ〜、華ちゃん花壇委員なんだ」

「他にもあるんですよ、1年の時なんかクラス委員も押し付けられて」

セリナと桃田さんが私の話をして盛り上がってしまってる。

「あ、ごめん。電話だ。ちょっとごめんね」
桃田さんのスマホが鳴り、席を立って行ってしまった。


「華、桃田さんすごくいい人だね。さっきから華の話を嬉しそうな顔して聞いてたよ。桃田さん、華の事すごく好きだと思うよ」

桃田さんがいない隙に、セリナがそう言ってくれてすごく嬉しかった。

「ありがとう、セリナ」

「いいなー、華が羨ましい!」

「え、セリナも彼氏いるじゃない」

セリナは同じ学校の3年生に彼氏がいる。
私たちが1年生の時から付き合ってるから、もうすぐ1年になるはずだ。

「うん。でも部活ばっかりでデートも最近していないよ」

そうか、セリナの彼氏はバスケ部だったよね。
もうすぐ大会もあるし忙しいんだろうな。