一年後…

桃田さんは3ヶ月前、私の高校の卒業式の日にアメリカで成功して帰国した。

約束していた通り、毎月帰ってきてくれたし、テレビ電話も何度もして来てくれた。

正直、寂しく思う日もあったけど、それでも桃田さんのことを応援したいと言う気持ちの方が大きかったんだと思う。

私はと言うと、無事に大学の進学も決まり、高校も卒業した。

そして、今日は私たちが付き合い出した特別な日。

桃田さんの誕生日でもあるこの日は、新たな記念日にもなる。

私と桃田さんの結婚記念日だ。


ウエディングドレスを着て支度が終わると、トントンと扉をノックされた。

「はい」

返事をすると桃田さんが入ってきた。

「すごく可愛い!」

「ありがとうございます。桃田さんもすごくカッコいいです」

白のタキシードを着た桃田さんは本当の王子様みたいだよ。

「ありがとう。やっと今日から桃田華になるんだね」

何だか“桃田華”って照れ臭いけど、好きな人と同じ名字ってすごく嬉しい。

「華も桃田になるんだし、そろそろ名前で呼んでくれないかな?」

そうだよね。
夫婦になるんだし、いつまでも名字で呼ぶのはおかしいよね。

「り、律さんっ」

「これはヤバイな」

そう言って、桃田さんは手の平を口元に持っていってる。

それって照れてくれてるのかな?

「華はいつまで経っても可愛すぎるよ」

名前を呼んだだけなのに。
でよ、結婚しても可愛いって思ってもらえるように努力しなきゃ。

「キスしたいけど口紅に落ちちゃうね。でもここなら大丈夫だね」

そう言って、鎖骨の辺りを律さんに触られる。

そして、首筋や肩にたくさんキスをされた。