飛び交う矢、魔法、水を避けて、ルトの背後に回り込むと刀を薙ぎ払う。

ルトは私の攻撃を避けると、その場から大きく飛び退いた。

「……本当に、君たちを見てると腹立つんだよな……何でって聞かれても分からないけどさ」

「過去に、大切な人を失っているから……か?」

庚は刀を肩に乗せると、ルトを見つめる。

「……何の話?僕に、大切な人なんて……」

笑って話すルトだけど、話してる途中で目を見開いた。

「あれ……僕には、大切な人なんていないはずなのに……君は、誰なんだ!」

頭を押さえて、ルトは俯く。それを、庚は見つめてる。

「やっぱり……記憶を失ってるんだね。僕が眠ってる間、ルトの過去を知る神様に出会ったんだ……夢羽(ゆめは)……この名前に、聞き覚えはない?」

「夢……羽……?何も、思い出せない……でも、知ってる、気がする……」

ルトが顔を上げると、ルトの頬に涙が伝っていた。それに私は驚くけど、庚は表情を変えない。

「そうだ……そうだった……僕、僕は……」

その場に崩れ落ちるように、ルトは座り込む。

「ごめんなさい……夢羽を失ったせいで、僕は悪へと堕ちてしまった……夢羽は、自害した。ある日、夢羽が神様たちにいじめられていたってことを知って……それで、僕は神界を壊してしまおうと考えたんだ……」