「魔法の重ねがけで、さらにほのかの攻撃魔法を強化した」

れいは刀から手を離すと、私を見つめて無言で頷く。私は頷くと、もう一度刀を結界に向かって振り下ろした。

……よし！結界を破ることが出来た！

「庚！」

利希は、素早く庚に近づく。庚は驚いた顔をして、ルトは笑いながら私たちを見た。

「ライヤ様の約束だろうが、関係ない。俺らも、お前と同じ気持ちだってことを忘れんなよ」

そう言って、利希は光の放つ刀を作り出す。庚は「でも……！」と利希を見つめた。

「俺ら、神様は……神界を守らなくちゃいけない……だから、俺らも戦う。お前に……ライヤ様に何と言われようと！」

利希は、ルトに向かって走ってく。れいは、微笑むと光の放つ弓を作り出して、ルトに向かって光を放つ矢を放った。

「……私も！」

閃は魔法を、葵は水をそれぞれルトに向かって放つ。

それを見た後、私は庚に近づいた。庚は、私の方を見る。

「庚……私たちには、庚が眠ってる間に何があったのかは分からない。だけどね……1人で傷付いたらダメだよ。その傷を、私たちにも分けて……そして、皆で力を合わせて……ルトを倒そう」

私はそれだけ言うと、精霊召喚魔法を解除して、刀を握り締めるとルトに向かって走り始めた。