庚はルトを見据えながら、白い光を放つ刀を構えた。次の瞬間、庚はその場から姿を消す。

刀が交わる音が、響いた。庚の刀を、ルトは余裕そうな顔で受け止めてる。

「……速いね……でも、力が弱い……」

庚の刀を弾いて、ルトは庚に斬りかかった。それを、庚は素早く避ける。

「さすがは、雷神と言ったところか。雷の如く動けるその脚力……」

「違うね。妖精に力を借りてるんだ……僕の召喚した妖精の魔法系統は、強化魔法。今は、素早さを上げる魔法……『疾走魔法』を使ってる」

「でも、妖精を召喚している間は……その魔法だけしか使えないんだろ?」

そう言って、ルトは庚に斬りかかった。それを、庚は軽々と避ける。

「そうだね。でも……魔法と神様の力は別だろ!」

庚は、ルトに向かって雷を放った。ルトは、刀で雷を弾く。

「ふふっ……言われてみれば、そうだね。でも、君の魔力じゃ……長くは維持出来ないだろ」

ルトの攻撃を食らって、庚は吹き飛んだ。地面に叩き付けられた庚は、咳き込みながら体を起こす。

「そうかもしれない……でも、どれだけ傷付いたって、戦える限り……僕は戦うよ」

庚は、刀を手に取ると立ち上がった。

「僕は、ほのかを守る……だって、僕は……ほのかが大切だから……」