利希の言葉に、私は「……そうだね」と頷く。

「……解錠魔法、試してみたけど無理だった。神様の力でも、解けないくらい強力に結界が張られてるんだ」

「何で解錠魔法を試したの?」

「入学式の日、庚が解錠魔法で結界を破ったから出来るかな……って」

私の言葉に葵は苦笑すると、何かを考え込んだ。

「……確かに、あの時よりも強力に張られています……どうしましょう」

結界に手を触れた葵は、呟く。同じように結界に手を触れた利希は「……ここ……」と呟いた。

「……ここを狙えば……もしかしたら」

「本当だ……ここだけ結界が緩い……でも、私たちの力で破れるかな?」

私が言うと、閃は「やってみよう!」と杖を構える。

「私たちは、魔法使いで神様だから……私たちになら出来る!」

閃はそう言うと、れいから教えてもらった攻撃魔法を放った。光の粒がいくつも飛んできて、利希が手を触れた場所に当たる。

でも、結界は破れない。それでも、閃は魔法を何度も放った。

……閃、変わったな。出会った頃とは、別人みたい。

「……騒がしいな」

ルトの声に、皆はルトの方を向く。

「毎回僕の計画を邪魔してさ……頭に来る」

ルトは声を低くして、私たちを見た。