男性は、ローブの中から一つの果物を取り出した。その言葉に、お母様は顔を上げる。

「……これは？」

「これは、神界で採れる果物だよ。これを食べれば、神様の素質がある者だけが神様になれる」

「……神様……？」

男性が手に持つ果物をもらいながら、お母様は首を傾げた。

「……戦っている凪斗を助けたければ、食ってみろ。話は、凪斗から聞くと良いだろう。お嬢さんなら、神様になれるはずだから……だけど、食べたら二度と人間には戻れないぞ」

その言葉に、お母様はルトと戦っているお父様を見つめる。

「……」

お母様はしばらくお父様を見つめた後、果物を食べ始めた。それを見た男性は、その場で姿を消す。

次の瞬間、お母様の体が光り出した。

「……気配が変わった……？」

ルトの声が聞こえてきたからルトの方を見ると、ルトとお父様は、動きを止めて驚いた顔で光を見つめていた。

「……私は、もう逃げません。凪斗さんを守るために、戦います」

お母様はルトに近づくと、ルトを見据える。お母様は、普段着ている着物に身を包んでいた。

次の瞬間、私の目の前は真っ暗になった。



目を覚ますと、私は横になってたから立ち上がる。それと同時に、皆も立ち上がった。