レイストは……いや、れいはぺこりと頭を下げる。

「……僕は、あの時邪気に取り憑かれたんだよ」

「……あの時……?」

私が問いかけると、れいは「……見せてあげる。僕の記憶を」と指を鳴らした。

次の瞬間、私の目の前は真っ暗になった。



気が付けば、私はどこかの屋敷の庭に立っていた。私の目の前には、葵にそっくりな女性とれいが縁側に座ってる。

……葵にそっくりな女性じゃなくて、あれは葵か。

「葵、今日も良い天気だね」

「そうですね」

2人は、顔を見合わせると同時に微笑んだ。目の前にいるのに、2人は私の姿には気づいてない。

れいは、一体何の魔法を……?

「……葵様!れい様!」

襖が開いて、慌てた様子の女の子が入ってくる。2人は、同時に女の子を見た。

「……どうしました?」

「サナミ様から、2人にサナミ様のお屋敷の方に来て欲しいとご連絡が……」

困った顔をする女の子の言葉に、葵とれいは顔を見合わせる。

「ありがとう。行ってみるよ」

れいは、女の子に微笑んだ。れいの言葉に、葵は「そうですね」と頷く。そして、2人は屋敷を飛び出した。

次の瞬間、私の目の前は真っ暗になって、すぐに景色が変わる。ここは、私の家……?

葵とれいは、お母様の前で跪いていた。