「……私が探してる人の名前……」

「そっか……」

……もう利希たちには、全部話そうかな?利希たちなら、信じられる。

「……私が人間界に降りてきた理由、そろそろ詳しく話そうかな……葵と閃を連れて人気のない場所で話すよ」

私が言うと、利希は驚いた顔をした。そして、少し考えた様子を見せて「……葵と閃って……庚は?」と首を傾げる。

「……本当は、庚にも話したいんだけど……庚には話したらダメな気がして……」

「そっか。とりあえず、魔法学校に戻るか」

利希は、そう言って空を飛んだ。私も利希の後を追いかけるように空を飛ぶと、魔法学校へと向かった。



「……本当に庚に話さなくて良いの?」

閃の問いかけに、私は「……うん」と答える。今、私たちは葵の家にいる。葵は一人暮らしをしてるらしいから、誰かが来る心配はないんだって。

「……じゃあ、話すよ。私が人間界に来た理由を。始まりは、今から15年前――」



「ライヤ様」

私は、腰辺りまで伸びた黒髪を1つに束ねたライヤ様に近寄る。

「ほのか」

ライヤ様は優しく微笑むと、縁側に座った。

「……ほのかと出会ってから、もう10年は経つのか……」

私がライヤ様と出会ったのは、私が5歳の時。近くにある森で迷子になって、当時7歳だったライヤ様に助けてもらったんだっけ。