利希は「ありがと」と微笑み、家に入ってく。しばらく待ってると、ドアから顔を出した利希は「母さんがほのかに会いたいって。入ってきて」と私に言った。

私は「……し、失礼します」と利希の家に入る。利希に案内されて、私はリビングに入った。

「……あの時は、ごめんね。ありがとう。利希を助けてくれて」

イスに座って本を読んでいた利希のお母さんは、本から顔を上げて微笑む。

「……そう言えば、君の名前は?」

「……天火 ほのかです」

「そっか。ほのかちゃんね……あ、私買い忘れた物があるから行ってくる!」

利希のお母さんは、そう言って部屋を飛び出した。それを見送った利希は私の方を向く。

「……じゃあ、祭りに行こっか」

そう言って、利希は部屋を出る。私は、利希の後について歩き始めた。

祭り会場までの道を歩いていると、遠くから太鼓と笛の音が聞こえてきて、私は立ち止まる。

「……ほのか?」

「綺麗な音色だなって……私ね、横笛吹けるんだ」

私が言うと、利希は「え?」と驚いた顔を見せた。

「良くライヤ様と一緒に吹いてたなぁ……」

そう呟いて微笑むと、利希は「ライヤ様って……?」と首を傾げる。