夏休みがやって来た。今日は、何もすることが無くて、私は昼からは寮の布団の上でゴロゴロする。

「ほのか、利希が呼んでる。今、図書館にいるよ」

部屋に入ってきた葵は、私を見つめると微笑んだ。

「利希が?」

「うん。行ってきなよ」

葵にそう言われ、私は立ち上がると半袖の黒いパーカーのポケットに杖を入れる。

「……分かった」

私は寮を出ると、図書館に向かった。扉を開けて辺りを見渡すと、イスに座って本を読んでる利希を見つけて、利希に声をかける。

利希は本から顔を上げると、私と目を合わせて微笑んだ。

「来てくれたんだ」

利希の言葉に、私は「うん」と答える。

「……実はさ、今日……俺の実家のある町で祭りがあって……一緒に行かない?」

今日は、特に予定がないから「良いよ」と頷いた。利希は嬉しそうに笑って「じゃあ、今から行こ!」と本を閉じた。



私は、利希の後を付いて町を歩く。魔法学校からはちょっと遠いから、空を飛んでここまで来たよ。まだ、移動魔法は使えないからね。

「着いた!」

利希が来たのは、前にも来たことがある利希の家。

「祭り始まってるけど、ちょっと寄りたい……良い?」

利希の問いかけに、私は頷いた。