私が今までのことを話すと、利希は「なるほどな」と呟く。

「……じゃあ、母さんは何でここに……?」

「今日はたまたま早く仕事が終わって、帰って来たら話し声が聞こえてさ……来てみたら、あいつが……って感じ……利希。あいつの言葉、気にしなくて良いよ。家系なんて、私は気にしない。あなたは、私の大切な宝物……愛してる」

ぎゅっと利希を抱き締めて、利希のお母さんは言った。次の瞬間、利希は声を上げて泣き始める。

私たちは、それを無言で見ていることしか出来なかった。



あれから数日。

利希と別れた後、レイストは「じゃあ、次会う時は敵同士だね」と言って消えていったんだ。

「あの時は、レイストのおかげで助かった」

「そうだね……まさか、レイストが協力してくれるなんて思わなかったよ」

「というかさ……レイストって一体何者なんだ?庚宛に手紙を届けたのも、家にかけてた封じ魔法を解除したのも、利希の兄だってレイストが言ってたけど……」

教室で、私たちはそんな会話をする。レイスト曰く、封じ魔法のかかった手紙を届けたのも、家にかけてた封じ魔法を解除したのも、利希のお兄さんらしい。

何でそんなことをしたのか聞いてみると、レイストは「利希のもとに誘き寄せるためじゃない?……例えば、利希の弱い部分を皆に見せるために……とか」と言ったんだ。