利希の体は震えてて、今にも泣き出しそうな顔をしてる。

「……利希、そう言われてショック?なら――」

「このアホが!!」

いつの間にか、部屋に入ってきた女性が利希のお兄さんを蹴り飛ばした。その後、震えてる利希の前に立って、女性は利希のお兄さんを睨む。

「……実力なんて関係ない!何でお前は、大魔法使いの家系ってことにこだわる!?」

「母さん……分からない?利希みたいなやつがいるから、大魔法使いの血が途切れるんだ!」

「……そっか。よく分かった……この家を出てけ!お前は、私の息子でも何でもない!」

利希のお母さんが呪文を唱えると、利希のお兄さんは光に包まれた。

光が止むと、利希のお兄さんの姿が消えてる。

「母さん。兄さんは……?」

「さぁね。転送魔法で、適当にどっかに送ってやったから」

利希と向き合って、利希のお母さんは利希をじっと見た。

「……でも、移動魔法でこっちに帰ってくるんじゃ……」

「その辺は、大丈夫。利希のお兄さんの魔力、全部、彼の付けてた指輪に封じ込めておいたから」

レイストは、そう言って笑う。そんなレイストを見た利希は、驚いた顔を見せた。

「……信じられないかもしれないけど、今回の件……レイストに協力してもらったんだ」