先生の言葉に、庚はポケットから杖を取り出して、ドアに杖先を向けた。

「解錠!」

庚が呪文を唱えると、ガチャッと音がする。閃がドアを開けると、ドアは開いた。

「……利希っ!」

利希は、光の縄で手足を縛られた状態で眠ってる。

「利希!利希!」

「……っ」

庚の声に反応するように、利希は目を覚ました。そして、心配そうな顔をする庚を見つめてから、利希は辺りを見渡す。

利希に近づいた葵は、利希を縛っていた光の縄を解いた。それを解いた後、利希は立ち上がる。

「やっと目が覚めた?利希……」

声がした方を見ると、利希のお兄さんがニヤリと笑って立ってた。

「……兄さんは、一体何がしたいの?」

「さっきも言ったでしょ?お前は、俺の言うことを聞いてれば良い!出来損ないなんだから」

「……っ」

利希は、その言葉に俯く。

「酷い……何でそんなことを!利希は、君の弟でしょ!?」

庚が利希のお兄さんに向かって言った。

「そっか。お前らは知らないんだな……俺らは、大魔法使いの家系なんだ」

「……大魔法使い……魔法使い達人以上の実力を持つ魔法使いか……」

「そうだな。だから、俺も両親も大魔法使い。でも、利希は違う!まだ利希は、魔法使いになったばっかじゃん。俺が利希くらいの時には、もう魔法使い達人になってたよ?出来損ないな利希を、何で両親は捨てないんだろ?」