そう言ったのは、葵だった。葵は、真剣な目をレイストに向けてる。

「……今は、利希を助けるのが優先だからね。レイストを信じよう」

それを見た庚は、私に顔を向けて微笑んだ。私は「そうだね」と頷く。

「……そういや、利希のかけた魔法が発動しないな……何でだろ……先生、ちょっと貸して」

レイストの言葉に、先生は手に持ってた紙をレイストに渡した。

「……なるほどね。封じ魔法の影響か……なら」

ニヤリと笑ったレイストは、呪文を唱える。次の瞬間、紙が光り出した。次々と文章が現れていく。

『俺は今、実家に閉じ込められてる……助けて』

……実家に閉じ込められてる?

「……伝達魔法ねぇ。凄いや」

「やるね。千草くん……伝達魔法、魔法使いになったばっかなのに、もう使えるんだ……」

伝達魔法……?

「伝達魔法っていうのは、口にした言葉を紙に書いてくれる魔法。近くに紙と書くものが無いと使えないっていう欠点があるけどね……この魔法は、魔法使い熟練になったぐらいに習得出来る魔法なんだ」

首を傾げる私たちに、先生はそう説明をしてくれた。

「利希の将来が楽しみだな……」

「そんなことより、早く利希を助けないと!」