りんご飴を食べてた庚は、りんご飴を口から離す。

「思い出したんだ。中学の時を……僕は、中学生の時から魔法が使えたんだ」

「すげぇ!」

「……でも、クラスメイトは……親は……僕を馬鹿にした……葵以外は、誰も僕を褒めてはくれなかった。魔法のことで悪口も言われてさ……だから、魔法学校に入るまでは、魔法が嫌いになって……」

俯いた庚は、ギュッと服を掴む。そして、顔を上げた。

「でも、魔法でほのかを助けた時……魔法が使えて良かったって初めて思えた。魔法学校に入って、魔法のことで先生に褒められて、嬉しかった……だから、今は魔法が好きになれた」

ニコリと庚は幸せそうに笑う。その笑顔に、私の胸が高鳴ったような気がした。

「……そうだったんだ……」

利希は、わたがしにかぶりつく。庚は「僕、このことを話せてスッキリしたよ」と再びりんご飴を口にした。

そして、屋台で買ったものを食べながら、今日の体育祭での話しをする。

「……ほのか。お久しぶりですね」

その時、声が聞こえてきて、私は顔を上げた。そこに居たのは――。

「お母様……」

豪華な着物に身を包んだお母様が、空にふわふわと浮かんでいる。