そう言って、庚は笑う。でも、何だか無理してるような……。

「……嘘だよね。ちょっとだけ休もうか」

私は庚を引っ張って、木の影まで連れてくと、そこに庚を座らせた。

「……凄いね。ほのか……僕が無理してること、分かるんだ」

「うん」

「あまり無理はしないでよ?倒れたら、私だけじゃなくて、利希や閃も心配するだろうから」

私は庚の隣に座って、まだ競技をしてる利希と閃を見つめる。

「……うん」

ふと庚を見ると、庚は俯いてた。表情は、前髪に隠れて見えないから分からない。

「庚、ほのか……こんな所にいたの?」

誰かに声をかけられて、私と庚は同時に声がした方を向く。

「利希、閃……」

競技が終わったらしい利希と閃は、私たちを見つめていた。

「競技、終わったんだ……結果は?」

「1位だった。閃、先生に褒められてたよ。『魔法、上手くなったな』って……」

利希がそう言って微笑むと、閃は恥ずかしそうに笑う。

「……楽しそうで何よりだね~……」

声が聞こえてきて、私たちは顔を上げた。レイストが、フワフワと空に浮いてる。

「……レイスト!また邪魔しに来たの?」

私が睨むと、レイストは「今回は違うよ……」と笑った。