私は先生に微笑んで、葵たちがいる場所に戻る。

「……か、可愛かったよ」

顔を赤くした利希と庚は、そう呟いた。その言葉に、思わず2人から目を逸らしてしまう。たまたま視界に入った葵は、ニヤリと笑っていたような気がした。

「……と、ところで!次は、利希たちの競技じゃ……」

私が言うと、利希はハッとした顔で「そ、そうだ!」と言いながら、走っていった。



次は、閃と利希が出る夫婦道という競技。本来は、ロープのついた浮き輪を投げて、ペアのもう1人の頭に引っ掛けて、もう1人を引きずるようにしてゴールする競技らしい。

魔法学校の体育祭の場合は、束縛魔法を使うらしいよ。杖と光の縄を繋げておくことも出来るらしいし。

競技が始まった。閃は、杖を構える。そして、閃の杖先から伸びた光の縄は、うまく利希に巻き付いた。

……閃、本当に魔法を使うの上手くなったよね。

そんなことを思いながら、私は微笑む。閃は、あれから急激に上手くなったんだ。

褒めたら、恥ずかしそうに、嬉しそうに笑ってたなぁ。

「ねぇ、庚。閃って……」

私が庚の方を向くと、庚は苦しそうにしていた。

「……庚?」

「ん?あぁ……大、丈夫……」