「……何ですか?」

金髪に、色んなアクセサリーを付けた男子が、ニヤニヤしてる。ん?この人……。

「さっき、喫茶店にいた子だよね?店に入ってた時から、ずっと君を見てたよ。俺とどっか行かない?」

やっぱり、さっきの喫茶店にいた人か。姿?が印象的で、覚えてる。

「……嫌です」

私が断ると、男子はグッと私の腕を掴んだ。

うわ、何だこいつ……。こいつに、炎の塊を放って良いかな?私、火の神様だから、炎を操れるんだよね。

「俺と、どっかに行こうよ」

「放して」

私は、男子の手を振り解こうとする。

だけど、男子の掴む力が強くて、私の体はそのまま壁に押し付けられた。

……もう逃げ場はない。誰でも良い、誰か助けて。

「ねぇ、お兄さん。何してるんですか?」

どこからか誰かの声が聞こえてきて、私と男子は一斉に声がした方を向く。

肩までかかった、少し寝癖のある黒髪を1本にまとめた黄色い目の、可愛らしい男の子が、男子を見据えていた。

あれ?男の子の着てる制服……。

「……あ?」

「……縛り上げよ」

男の子は、カバンから黒い杖を取り出すと、杖先を男子に向けて、何かを呟く。

「……っ!」

杖先から光線が飛んでいって、その光線は不思議な軌道を描くと、男子は手を後ろに回し、地面に倒れた。男子の手には、しっかりと光線が巻き付いている。

……え?

「くそ、何をしやがる……!」