この時計塔は中に入れるらしく、私たちは魔法で閉ざされていた扉を、先生に開けてもらって、時計塔の中に入る。

中では、大きな木で出来た歯車が回っていた。

私たちは、それをぐるりと囲むように作られている階段を登る。

突き当たりに扉があって、私はその扉を開いた。小さな窓がある小さな部屋に、縄で縛られた閃が倒れている。

「……閃!」

私は閃の名前を呼びながら、閃に近づいた。

「……っ」

閃は小さく動くと、じっと私を見つめる。

「大丈夫?」

私は閃を縛っている縄を解いて、問いかけた。不思議そうな顔で首を傾げる閃に、私たちは今までのことを説明する。

「……ほのかは神様だったんだ……でも、何でほのかは神界からこっちに来たの?」

「それ、僕も気になってたんだよね」

庚と閃の言葉に、私は少し考えた。1人で探すのも無理そうだし……でも……。

「……人探しのため。魔法を使えた方が見つけやすいかなって理由で、魔法学校に入学したんだ」

私は、簡単に理由を話した。あの人のことは、まだ話さない。話したところで、皆に見つけられるかどうか……だって、あの人は――。

「……僕たちは、詳しく聞かないけどさ。ほのか、いつでも言ってね。いつでも人探し、手伝うから」