私たちは、魔法図書館に飛び込んだ。真っ暗で、周りが良く見えない。

「閃!!利希!!」

私は二人の名前を叫ぶけど、返事は全くない。

「……」

閃、利希……どこにいるの?

私たちは、魔法図書館の中を歩き始めた。

「……利希っ!」

突然、庚が駆け出す。庚が向かった先には、一人の男の子が倒れていた。

「利希……しっかりしろ!」

庚が倒れている利希の体を揺さぶると、利希はゆっくりと目を開ける。

「……っ、かの……え?」

利希は、庚の名前を呼んだ。庚は、ゆっくりと頷く。

「庚……閃が……閃がっ!」

ガバッと起き上がり、利希は焦るような表情を見せた。

「閃がどうしたの?」

葵が問いかけると、利希は「……あ、えっと……あれ?」と首を傾げる。

「利希、何があったのか分かる?」

私の問いかけに、利希はしばらく考えた後、首を横に振った。

「……記憶喪失?」

葵の言葉に、先生は「魔法をかけられたんだろうね」と利希を見つめながら言う。

「……一部分の記憶だけを消す魔法か何か、ね……」

「そんな魔法、あるんですか?」

「聞いたことがあるってだけで、本当にあるのかは分からない。でも、その魔法を解除する方法なら知ってるよ」