魔法図書館に着いたけど、扉には鍵が掛かってて、入れない。

「私に任せて」

先生は、どこからともなく杖を取り出して、杖先をドアに向けた。

「解錠」

先生が呪文を唱える。確か、簡単な魔法ほど詠唱が短いんだっけ?

「あれ?」

先生は、杖を下ろしながら首を傾げた。

「開かないんだけど……」

先生の呟きを聞きながら、私はそっとドアに触れる。

……これは、結界……?しかも、強力なものだ。

「……こりゃ、魔法で開かなくて当然だ……」

私は、誰にも聞こえない声で呟いた。

……さて、どうしたものか。

「……先生、僕もやってみても良い?」

私が声をした方を見ると、庚が杖を片手に立っている。そして、その杖をドアに向けた。

「……解錠」

庚が唱えた瞬間、バシンッ!と音がして、結界が壊れる。

……え?

「……っ!」

……庚……あの強力な結界を破壊した?結界って、神様しか解けないはず……いや、魔力が強すぎたから?分からない。

私は、そっと庚に目を移す。

庚は驚いた顔をして、さっきの魔法の衝撃で、少しだけ開いたドアを見つめていた。

「……行こう!」

先生の言葉に、私は一旦庚のことを考えるのを止める。

あ……そうだね。とりあえず、閃と利希を助けないと。