頭の中に響いた音を感じ取っていると妙な気配を感じた。
心臓の鼓動が早くなる。
足が震えだし、進むことを拒んでいる。
恐ろしい何かが、近くにいる―――
そして、その気配は―――零次の走って行った方向から感じる…
零次は昔から霊とかそういう類いに敏感だった。
ということは……零次は自らそこに向かった。
あの昼休み以来、零次が時々違う人物になっている気がしていた。
性格も学力も運動神経も姿も何も変わらない。
ただ、根拠のない違和感を時々感じていた。
この悪い気配はそれに関係しているのか?
唇をギュッと噛み締める。
「ったく、なんなんだよ!!」
碧は走りだした。
―――零次の走って行った道に沿って…


