ビュンッ!!
風を切って拳が向かって来る。
しかし、それは簡単に刀に受けとめられ、逆に片腕を切り取られる。
痛みに喘ぐ悪霊にすかさずミリヤの矢が刺さる。
それを確認すると、零次は空へ向かい、残り1体の角を切り落とした。
「任務、完了―――」
小さくミリヤは呟いた。
「動きは悪くないな。
敢えて言うなら、下手に悪霊の角以外を切り落とすのは止めろ」
「どうしてだ?」
軽く首を傾げる。
「今日みたいな低レベルの悪霊なら問題ないが、分裂型の悪霊だと話は別だ。
奴らは切り落とされた数だけ、破片から新個体として復活する。
数が多いと大変なうえに、分裂型はただでさえ、強い霊力を持っているからな」
「なるほどな…」
思わず苦笑いをする。
悪霊にはいろんな型がいるらしい。
型によって特性も違ってくるが○○型と呼ばれるものは基本的に強い霊力と特殊な霊気を持つ。
「ま、今日の感じなら大丈夫そうだな。この調子でやれよ」
「おう」
2人はお互いの顔を見ると、笑いあった。
この後起こる事件も知らずに…


