手のひらに納まるほどの大きさのそれをポケットの中に直す。
こんな小さな大きさの物が、自分と瓜二つの姿になどなるのだろうか?
「とにかく、使えば分かる」
ミリヤはめんどくさそうに言い放つと、人差し指を参考書に向けた。
「あと、今日の予習何だが…例題12はどうしてこうなるんだ?」
「お前さ……予習ぐらい自分でしろよ」
大きなため息を吐くとチャイムが鳴った。
―昼休み―
いつものように、碧、道隆と昼食をとる。
「つーか、なんで朝からミリヤちゃんと2人で話してたんだっ!?」
購買部で買った焼そばパンを片手に道隆が切り出した。
朝答えたはずなのに、相変わらずしつこいヤツだと思ってしまう。
自分が納得するまで徹底的に追究する。
それが道隆だった。
そのしつこさもモテない理由の1つだとは全く思っていない。
「だから、数学教えてたんだよ」
さらっと返す零次に道隆は勢い良く指を差した。
「何だと〜!!
ちょっと頭が良くて、ちょっとモテるからって、調子乗んなよ!!
全くお前等2人は…」
「待てよ、俺もかよ」


