席に座った桜子を零次はじっと見ていた。
相変わらずの天然っぷり。
ミリヤの言葉にあっさり納得したのだから。
まぁ、完全にウソというわけではないのだが…。
それにしても……
「ミリヤ、その性格の変わり方は何だよ」
ムッとした顔で零次を見る。
「何って別に。問題でもあるのか?」
強めの口調で言い返され、思わずため息を吐く。
このギャップは何なんだろうか。
桜子と話していたときの柔らかさは何処へやら。
すっかり男のような口調に戻っている。
「…そんなことより、早速今日から実習に入る。
これを持っとけ」
なにやら白い人形を渡される。
後ろを見ると赤いボタンがついていた。
「なんだこれ?」
人形を引っ繰り返したり、軽くたたいたりする。
これといっておかしな点はない。
「分身体製造器だ。
そこのボタンを押すと、お前と全く同じ姿に変わる。
授業中とかに悪霊が出てきたらそれを使え」
「大丈夫なのか…?これ…」
ミリヤの話が本当ならかなりの技術が備わったものだと思われる。
見た目はショボい人形だが……


