横腹の痛みに耐えながら、立ち上がる零次。

目の前には痛みの原因であるミリヤ。


「今は試験中だ。
何昔話に花を咲かせている!!」

「昔話ってな…」

「荒牧さん…落ち着いて…」

「お前もだ石黒将っ!!」


ミリヤの声に素早く立ち上がる将。


「このギャップ野郎…」

「何か言ったか?」


ミリヤの鋭い眼差しを完全にスルーして、制服姿に戻る。

横腹は痛いが他に怪我はない。


そして、暇そうにしている寒野に視線を移した。


寒野は零次の視線に気が付くと笑って声を出した。



「合格だ。
まさか本当に一本取るとはな」



そりゃどーもと軽く返事をする。


将には負けられない。

零次が通っていた道場にいた少年が将だった。


始めてすぐの零次が将に勝てるはずもなく、将の正確な剣道にずっと負け続けた。


初めて勝ったのが、中学の大会でだ。

将に初めて勝ったことで勢いがつき、その年零次は県1位になった。



「明日から早速、実習に入る。
その後で正式な入団式があり、封印師として活動する。

それまでは、基本他の封印師と行動する事になる」