それ故に、その力を狙う変な霊に取りつかれる事もしばしばあった。

だが、父親に除霊をならい、できるようになってから霊は前ほど寄り付かなくなった。

未だに成仏されない霊が零次の力を頼ることはたまにあったが、悪い霊は全く寄り付かなくなった。

むしろ、零次を避けていた。

その大きな霊力を恐れるかのように…




坂を下ると学校まで後少しだ。


「やっぱここんとこおかしいな…」


町の空気が妙に重い。

妙な気配をいくつも感じる。
もちろん零次のそばには寄り付かないが。


零次の暮らす夢園町は、昔から多くの神話が残るほど、霊およびその類の物が集まりやすい場所だといわれてる。

しかし、ここ数ヶ月、今まで感じなかったような強い霊力を感じていた。


かといって、摩訶不思議な事件が起こってるわけでもない。


「考えすぎか…」


ひとまずそう思い込み、学校へと急いだ。




そんな零次を見つめる一つの影があった。


「強い霊力を感じる…あの少年か…?」


視線の先には零次がいた。