体に力が漲る。
それは自分の物とは思えないものだった。
だが、一方で感じ慣れたものでもあった。
自分の力。
ただその大きさがあまりにも大きいだけ―――
ミリヤは不思議だった。
体に衝撃が走らない。
神経がいかれたか?
違う。
ゆっくりと目を開ける。
守られた。
この
異常なほどの霊力を持った
少年に……
「お前…いったい、何が…?」
体から銀色の光を放つそいつに話し掛ける。
そいつは片手で化け物の手を押さえながら口を開いた。
「知るかよ。でもな、とりあえず…」
化け物の手を投げ飛ばす。
化け物はバランスを崩し地面に倒れた。
そいつから、銀色の光が消える。
紺色と黒の袴姿に、首元には、銀色の襟巻き。
背中には、そいつの背丈ほどある、美しい刀。
刀が抜かれる。
その刃は、通常の刀と同じぐらいだが一つだけ違う部分があった。
すべてが銀色だった。
そいつは慣れた手つきで刀を構えると、口を開いた。
「死なせはしねぇ。それだけだ」


