「………」


零次が無言でいると、ミリヤは一枚の札を取り出した。

取り出したと言うより、どこからか手の中に出現させた。

それを倒れた悪霊に投げつける。


「悪しき汚れた魂よ、今現世より去り我が手のなかに眠れ―――悪魂封印」


すると、突然化け物から黒い光が飛び出し、札のなかに吸い込まれていった。

札が徐々に黒く染まっていく。



黒い光が全て札に吸収されると、札はミリヤの手元に戻ってきた。

その場には小さく光る白い光が残った。


ミリヤはもう一枚札を出現させると、白い光に投げつけた。


「現世を迷いし魂よ、天界へと導かれよ――正魂誘導」


札が光に触れ、ミリヤが詠唱し終わった瞬間、光と札が同時に消えた。


「よし、除霊完了…さてと…」


ミリヤが零次を見る。

その視線の鋭さに、零次は身構えた。


「どうするかなー今の見られたし、だからといって記憶消すのもなー。
せっかくこいつ使えそうなのに」

「使えそうっててめぇ…
その前に今の状況説明しろ!!」

「お前うるせーな。今あたしもいろいろ考えてんだよ…」


キィィィイン…


「…!?」