空から光り輝く矢が降ってきた。

それは、化け物の頭にある2本の角を貫いた。

苦しそうに叫び声をあげる。


「何が起こった…!?」


上空を見渡すと電柱の上に人を見つけた。

長い髪を束ね、弓を持ち、なぜか袴姿の少女がそこにいた。


零次は身に覚えのある霊力を感じた。



「お前は…」



少女が零次を見る。

華麗に空中を舞うと、零次の目の前に着地した。



「なんで、お前ここにいるんだよ


―――荒牧美梨弥」


少女―――ミリヤは口を開いた。


「そんなのこっちが聞きたい。
確かにお前の霊力は異常だが、普通の数珠であの妖怪化寸前の悪霊は倒せない
それぐらい、理解できるだろ?」


「…荒牧、お前…その言葉遣い…」


昼間はあんなに女の子らしかった彼女が、まるで男のような言葉で話している。

「今、それは問題じゃないだろーが。
むしろ、あたしの正体のほうが――」


そこまで言うと、ミリヤはいきなり、矢を放った。


それは面白いぐらい的確に化け物の胸にある突起を貫いた。


「問題じゃないか?」


倒れる化け物をバックにミリヤは微笑んだ。