「マリ、行こう!」

ユウキが少し遠くで呼ぶ。




「……一緒に来たんか?」

「え、うん。朝家の前にいて」



「もう行けよ……………」

「でも……」



「…いいから!」


ハンカチを奪い取られて、リュウヤはそっぽを向いてしまった。

しょうがなくあたしは、先生に会釈をしてユウキのところに戻った。





一瞬、睨まれた気がした。
……大丈夫かな。



「マリ…山田とあんまり関わらない方がいいと思う」


「なんで?」



「山田って見た目からヤンキーだし、マリが好きで付き合ってるとしても幸せになれないと思う」



……見た目だけで判断してるんだ。


「リュウヤは優しいよ?」

「俺の方が幸せに出来る」


「……」
リュウヤをバカにされたようで何か腑に落ちない。
なんでそんなこと言うんだろう。




「マリ、これやるよ」




カバンがから出てきたのは、クマのテディベア。足の裏に誕生日が書いてある。



「テディベアだ…」



あれ?これって……



「初デートで欲しいって言ってたやつだろ?」


「え……」

覚えててくれたんだ……



「あんときお金なくて買ってやれなかったけど、今バイトしてるしやっと買えた」





「……ありがとう」