木蓮に抱かれて


バイト初日の朝

「あ、お母さんおはよ」

「あ、帆乃佳!あんた今日からバイトでしょ?晩ご飯どーすんの?あ、バイト終わり待ってないで、先寝るからね。あんたなんか待ってらんないわ」

「あー、うんうん、ご飯なんてなんでも食べるしいいよ。すぐ帰ってこれるかも分かんないし先寝てて」

「はいはいはいはい・・・。じゃ」

「いってらっしゃ・・・」

バタン!

わたしの言葉なんて届いてないうちにドアは閉まってしまった。

「わたしもそろそろ学校行こ・・・」

結局わたしに興味があるのはお父さんだけで、でもそのお父さんの愛情はわたしが求めてるものではない。


わたしはもう女子高生だし、経験はないけどそれなりに男女の関係もわかってるつもり。


普通に人を好きになって、恋愛して、ちゃんと愛し合いたい。

お父さんからは普通の父親としての、家族の愛情が欲しかっただけなのに、もう・・・お父さんの顔を見ることすら嫌だ。


ほら・・・学校に行けばカップルが・・・

「おーーーい!!!帆乃佳!!!」

「あ!美穂!おはよう!」

「ちょっとさぁ、相談があるんだけど」

「ん?なに?」

「川田くんのこと、ちょっと気になってるんだけど、ひょっとしたら帆乃佳も好きなんじゃないかなぁ、と思って・・・」


「え!そうなんだ!全然いーよ!わたし親が厳しいからさ、恋愛なんかできないし。というか頑張って!応援してる!」


「ありがとう!」

川田くんは良い子だけど、別に恋愛感情で好きというわけではなかったから、美穂が報告してくれたことは素直に嬉しかった。

そして、そんな美穂の笑顔は輝いていた。

「恋する女はキレイ・・・か。ほんとなんだなぁ」