私は少し俯いて
 
「でも。翼君、まだ離婚成立してないでしょう。父に会って、何て言うの?」

私は、翼を責めたくなかったけれど。

今の状態で、父に会うと言う翼に、少し違和感を覚えた。
 
「今、離婚協議中ってことじゃダメかな。」

翼は、初めて不安そうな顔をした。
 
「無理よ。離婚してから付き合いなさい、って言われるわ。」

私が言うと
 
「そうか。結花里は、大切なお嬢様だもんな。厳しいか。」

翼も力なく答えた。

翼の言葉に、少し引っかかってしまった私。

さっきまで、熱く愛し合って。とても幸せだったのに。

二人の間に、小さな溝ができたようで。私は悲しくなる。