梅雨空を撥ね退けるような、パステルカラーの服を着て。

聡美とランチをした。
 
「やっと結花里らしくなったね。」

と笑う聡美。
 
「ママが、ムキになって、私の洋服を買うの。」

と答える私に、聡美は頷く。
 
「結花里のママも、寂しかったのよ。結花里と買い物に行けなかった間。」

と言う。
 
「うん。これが本当の私だから。」

真っ直ぐに聡美を見て、私は頷く。
 
「やっと結花里の目に、力が戻ってきた。今までの結花里、フワフワしていて。消えちゃいそうだったよ。」

と聡美は言う。
 
「本当に?」

と私は、驚いて言う。
 
「ねっ。結花里、全然 気付いてなかったでしょう。増渕さんにのぼせていたから。」

聡美の厳しい言葉に、私は苦笑する。
 
「ひどいなあ。でも、そうかも。今、思うと、よく覚えてないの。翼君と暮らしていた間のこと。」

私は素直に言う。