母の言葉に驚いて、私はフォークを置く。
 
「結花里が好きになった人だから。結花里に不自由は、させたくないって。パパは力になるつもりだったのよ。」

私の目から涙が溢れて、テーブルに落ちる。

「でも、増渕さんに奥さんがいるってわかって。パパ、すごく怒って。結花里は遊ばれているって。パパ、増渕さんに会いに行こうとしたの。結花里に内緒で。」

私は黙って、涙を流し続ける。
 
「ママが止めたのよ。」

と母は、少し得意そうに笑った。