部屋の契約金は、翼が支払った。

美容師の収入は、決して多くない。心配する私に
 
「暮れのボーナスがあるから。」

と言った後で 翼は
 
「俺、貯金は少ないから。家具はカードで買おう。」

と笑う。
 
「えっ。家具は私が買うよ。私も、少しは貯金があるし。」

私は、翼を見上げて言う。驚いた顔の翼は
 
「結花里にお金、使わせたくないよ。」

と首を振る。
 
「ううん。それは嫁入り道具だもん。」

と私は照れて言う。

翼は甘く微笑んで
 
「結花里。いいの?」と私を見る。
 
「うん。翼君、今から 家具、見に行こうよ。」

と私は、翼の腕を取った。