私と聡美は、地元でも有名なお嬢様学校の同級生。

私の家は総合病院を、聡美の家は建設会社を経営している。

良家の子女が多い学校でも、二人の家は別格だった。
 
中学から入学して、すぐに二人は仲良くなった。

職種は違っても、家庭環境が似ているから。共感することが多かった。
 
そのまま大学まで進んで。卒業後も私達は就職をしていない。

私は父の病院に。聡美も父親の会社に。形だけ所属して。

十分なお小遣いをもらっていた。
 
私には3才年下の弟がいる。医大生の弟は父の後を継ぐ。

私は医師と結婚して、弟の片腕になるか。もしくは、近くで開業するか。

家族も自分も、そんな将来を疑っていなかった。

聡美にも、父親を継ぐ兄がいた。
 
私達は、家族に甘やかされた娘達。豊かで自由で。

習い事や買い物と、贅沢にお金と時間を使える。

ずっと、こんな生活が続くことを、私達は疑わなかった。