それからふっと睫毛を伏せたかと思うと、土方は左手で透のその目を覆った。


その手付きは何処か労るようだった。


「……………嫌な目だ…。」


嫌な目───?


透は土方の手を払った。


まるで"不気味だ"とでも言われているみたいで気分が悪い。


「………貴方は…、私がこの目になりたくてなったとお思いで?」


「……………。」


流石に容姿の事について否定的な発言は失礼だと土方もわかっていた。


けれど酷く違和感を感じたのだ。


見てくれだけではない、何かに。


それは何故か苦しくなるような、哀しくなるようなものだった。


そうしたら、無意識に呟いてしまっていた。








───パチンッ


透の小さな手が土方の頬を打った。


「───な…っ!?」


「何も知らない人間が、他人のモノをどうこう言うな。」


土方を見下ろす透の肩は怒りで震えていた。









「───透さん」


不意に柔らかい声と共に誰かが透の手首をとった。


「うち副長が無礼を働き誠に申し訳ありません───」


それは今日、初めて聞く声。


「貴方は…?」


反射的にそちらに向き直る身体。


「申し遅れました。土方歳三と同様、副長を務めさせて頂いている山南敬助と申します。」