哭かない君と

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「……………」


目を覚ますと透は布団の中にいた。


暗かった部屋はいつの間にか明るくなり、柔らかい光が透の色素の薄い髪を透かした。


……………そっか…、あのまま貧血で倒れたんだ。


身体を起こして辺りを見渡せば、倒れる前は暗くてよく見えなかった室内の状態が確認できた。


男の人の部屋なのに綺麗…。


沖田の部屋は綺麗に整頓されている。


「……………っ」


無意識に、文机に綺麗に並べられたすずりと筆に手を伸ばしていた───…










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「起きたかなぁ、あの子。」


「さあ、どうでしょうね。」


沖田は八番隊組長の藤堂平助と並んで自室へ向かう廊下を歩いていた。


「俺、あの子と話してみたいな。」


「俺は───…」


────ガタンッ


なるべく関わりたくないですけどね、と言い終わらないうちに大きな音にその声は遮られた。


「！」


「総司の部屋の方からだ！」


二人は顔を見合わせると部屋に向かって走り出した。