哭かない君と

「早く答えて下さい。」


「い、えない…っ!まだその時じゃないから!」


早くこの痛みから解放されたくて口をついて出た言葉。


その時がくるまでこれも言わないつもりだった。


彼らの信用を得て、自分自身も彼らを信用したら事の全貌を明かすつもりだったけれどこれは誤算だった。




女相手にこんな力で捻りあげるなんて…っ


もう"痛い"なんてまともに感じられない痛みだった。


夢現をさ迷う感覚。


痛みと緊張に伴って貧血状態に襲われる。


意識が朦朧とし始めた。


「どういうことです?そもそも、怪しい輩の言葉を信用するとお思いですか?貴方のような人、壬生浪士組には…









───要りませんよ。」









───透ちゃん


優しい声が鼓膜を揺らす。


───お父さんとお母さんは透ちゃんがとても大切で、大好きよ。


───お前は私達にとって必要な存在なんだよ。









優しい言葉は全て事実で本物だったけれど───…


「───知ってたよ…それくらい…。本当に欲しいのは、私じゃなかった…。」


笑って、嗤って、最後は暗闇に突き落とされた───。