プリンセスストロベリーの憂鬱

「助けてくれてありがとう」

「たいしたことはしてないよ。危ないと思ったら手が出てだけだよ。中村さんの顔に傷がついた方が大変だもの」


どこかのイケメンヒーローのセリフを夏恵はつらつらと並べた。

中村の顔が次第に赤くなっていった。

夏恵が男だったら、確実に惚れていたはずだ。


「これ、お礼。今これしかなくて、帰ったら改めてお礼するからね」


と言って夏恵に小さな飴の袋を差し出した。